鏡の国のソナタ
「ま、いっか……」

素奈多は笑った。

クランも少し照れたように笑った。

素奈多はシンクのほうに回り込み、コップに水を汲んだ。

「昨日、助けてくれてありがとう」

クランに背中を向けたまま、改まった口調で言った。

コンロとシンクは、ちょうど反対側に位置しているので、二人は背中合わせになっている。

「あぁ?」

素奈多が妙に素直なので、クランは不審そうに素奈多を見た。

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