鏡の国のソナタ
「あたし、あんたのこと、自分のものだと思ってた。そばに居るのが、当然だと思ってた。ごめん。あんたには、あんたの人生、あるよね。もう、自由にしていいから。あたしに縛られること、ないから……」

素奈多はとつとつと言った。

昨日からずっと考えていたのだ。

クランを自由にしてやらなきゃ……。

好きなようにさせてあげなきゃ……と。


クランはコンロの火を止め、お皿に平べったくなった目玉焼きを移し替えながら言った。

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