鏡の国のソナタ
素奈多は、耳たぶにふわりとクランの息がかかったのを感じて、ドギマギとうつむいた。

「いいけど……。いやらしいことしないでよ」

クランは、ニパッと破顔した。

「あ、もう手遅れ!」

「えっ?」

へっへっへ、と笑って、クランはフライパンを両手で握って自分の顔を隠した。

「しちゃった、夕べ……」

素奈多はあわてて声を上げる。

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