鏡の国のソナタ
「えええっ?」

クランは、顔を隠したフライパンをちょっとずらして、素奈多の驚いた顔を盗み見て、はははっ、と楽しそうに笑った。

「おでこにちゅ~」

パッとクランは身を翻す。

素奈多に叩かれるのを予期しての反応だ。

素奈多は、んもう! と逃げたクランを睨みつけ、手近な台拭きを掴むと、思い切り投げつけた。

「だから、どうしてあんたってそうなのっ!」

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