鏡の国のソナタ
ビュンと台拭きが飛び、見事、クランが顔をガードしたフライパンに命中した。

ぽとりと台拭きが床に落ちる。

クランは、フライパンの陰から、ひょいと顔を出した。

「怒った?」

素奈多は汲んだまま忘れていたコップの水をぐいっと飲み干し、シンクの横に空になったコップをタンッと置いた。

「はぁ」

大きく、ため息をつく。

素奈多は、コップを見つめたまま、ぼそっと言った。

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