鏡の国のソナタ
「今度は、起きてるときにして」

「は?」

豆鉄砲を食らった鳩のような顔になって、クランが素奈多を凝視した。

ぼんっと、耳まで爆発したように真っ赤になって、素奈多はバタバタと買い置きのパンを掴んでテーブルに走った。

「ああっ。早くご飯食べなきゃ、遅刻遅刻っ!」

大慌てで朝ご飯を食べ始める素奈多を見つめて、クランはフライパンをもてあそんだまま、ふわりと微笑んだ。

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