鏡の国のソナタ
「そうよ? だって、あんたの好きなのは先輩で、彼のことはどうでもいいわけでしょ? いっしょに住んでるのにおあずけ喰わせてるんだもん。可哀想よ」

「だ、だからって……なんで、そういう……」

あわててしまって、言葉がうまく出てこなかった。

素奈多は、みっともないくらいにうろたえた。

対する花南は、余裕たっぷりだ。

「ぼやぼやしてたら、とっちゃうよ」

素奈多は、力一杯首を横に振った。

「だめ! あたし、悔しいけど、あいつのこと……好きだと思う」

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