鏡の国のソナタ
花南は、やれやれと首をすくめた。

「ふふん。やっと気づいたの? 遅いわよ。それ、本人に言ってあげなさいね。彼、先輩のニセモノだって気にしてたわよ」


「え……」


 そういえば、ニセモノと言ったとき、クランはとても哀しそうな顔をしたような気がする。

そんな彼の表情の変化を、ちゃんと記憶していたことに素奈多は驚いた。

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