鏡の国のソナタ
「気になること?」

「うん。存在がイレギュラーだから、どうしょうもない……とかなんとか……」

「イレギュラー? なんだろ?」

素奈多は、胸にインクを落としたようなシミが広がるのを感じていた。

ぜんぜん普通の人間と同じで、変わったところなんかなかったから、つい、忘れかけていた。


彼は……、クランは、得体の知れない卵から生まれたのだ。


そう思うと急に不安になって、胸の中がざわざわして落ち着かなくなった。

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