鏡の国のソナタ
「やだ。凄い熱」

素奈多は驚いて手を引っ込めた。

「あ、素奈多の手、冷たくて気持ちいい~」

クランは、熱い手で素奈多の手を取る。

素奈多の手をぴたっと頬に当てて、委ねるように目を閉じた。

素奈多はもう片方の手で、そっと額をなぞった。

「お医者さん行こう。早く」

クランは、目を閉じたままため息をついた。

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