鏡の国のソナタ
高等部の少女の口から、ウテルス・カプセルという言葉を聞いて、九嵐も後輩たちも互いに顔を見合わせる。

素奈多は、廊下に視線を走らせた。


「見てください。あたしが作ったクローンです」


素奈多は静かに言うと、廊下に向かって手招きした。

室内が、水を打ったように静まりかえる。

そこに、ゆらりと一人の男が姿を現した。

男は、立っているのも辛そうで、さしのべた素奈多の腕にすがってその場にくずおれた。


室内の誰もが唖然として言葉を失った。

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