鏡の国のソナタ
最後の方は、絶叫に近かった。

素奈多にできることは、こんな例を見たことがあるだろうこの研究室の力にすがることだけだった。

九嵐は、ゆっくりとクランのもとに歩み寄った。

「……驚いたな……。

君は、石井ケミカルUT8のウテルス・カプセルから産まれたのか?

実験室でさえ発生率は三十パーセントそこそこだというのに……」

しゃがみこんだ九嵐にニッと笑って、クランはうそぶいた。


「おまけに、期限切れだったけどな……」

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