鏡の国のソナタ
「あのさ、あいつのことは許してやってくれよな。で、俺がここに来たのは、あんたに頼みたいことがあったからだ」

九嵐は目を細める。


「延命か?」

クランはかぶりを振った。

「いや……。俺が死んだら、遺体を処理してほしい」

「なに言ってんのよっ!」

素奈多は悲鳴のように叫んで、クランに抱きついた。

「あんたは死んじゃ駄目なのっ! 駄目なんだったらぁっ!」

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