鏡の国のソナタ
「ばかやろうっ!」

クランは、素奈多を抱きしめた。

床に、血のついたメスがカランと落ちる。

クランは、素奈多を抱きしめたまま、激しく咳き込んだ。

そして大量の血液を喀血して、その場にくずおれた。

「クラン……?」

腕の中でぐったりと動かなくなってしまった血だらけの男を抱きしめて、素奈多は狂ったように泣き叫んだ。


「クラン! クラン! クランっ!」

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