鏡の国のソナタ
あんまりだと思った。

どうして、クランは、この人のクローンだったんだろう……。

ぜんぜん違うのに、なにもかもが違う、別の存在だったのに……。

だけど、顔も声もそっくり同じだったのだ。

九嵐は顔を覆って泣く少女を、苦しげに見つめた。



「素奈多……」


ぽそりとつぶやく。

名前を呼ばれて、素奈多の肩がピクっと震えた。

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