鏡の国のソナタ
「あぶない!」

よろめいた素奈多を、九嵐の逞しい腕が抱き留めた。

その瞬間、九嵐のサラサラの髪が、ふわっと素奈多の顔にかかって、素奈多の心臓は臨界点までバクバク盛り上がった。

思わず頬を染めて、素奈多は九嵐の胸にしなだれかかった。

「立てたね」

九嵐は、にっこり笑って素奈多を見下ろした。

その笑顔が、まぶしかった。

「先輩……」

素奈多は、九嵐の腕の中で至福の時を過ごした。

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