鏡の国のソナタ
「伝えたよ。じゃあ、もうしばらくお休み」

九嵐はそう言うと、さっと身を翻した。

その体の動きにしたがって、白衣の裾がふわりと翻る。

病室を出ていこうとする九嵐の後ろ姿を見て、素奈多は爆発するような衝動がこみ上げるのを感じた。

それは、堰を切った水のようにあふれかえって止めることができなかった。

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