鏡の国のソナタ
「珍しい研究サンプルだからな」

「じゃあ、なんで先輩の真似なんかして……?」

クランは、優しく素奈多の頭を撫でた。

「俺、佐藤九嵐といっしょにアメリカに行く」

「アメリカ!」

「二度とここには戻ってこない」

「そんなの、やだよ……」

クランは、ポンと素奈多の頭を叩いた。

「医療廃棄物から偶然発生したクローンは、記録に残っちゃまずいんだ。

だから、頼み込んでおまえに別れを言いに来た。

本当は、バレちゃまずかったんだけどな……」

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