鏡の国のソナタ
■ 6 もうひとつのはじまり
塵一つなく管理された清潔な大学病院の付属研究所の廊下を、ゆるくカールした髪をアップにまとめ、襟の立ったアシンメトリーな打ち合わせの白衣に身を包んだ素奈多が歩いていた。


「ミス・鈴木」

後ろから、案内の学生が追いかけてきて、並んで歩きながら素奈多に話しかけた。

「到着されたばかりでお疲れでしょう?

ドクター佐藤とのお約束の時間にはまだ間があります。まずは、お茶でも……」

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