鏡の国のソナタ
ドアの向こうに待っている男が居る。

色素の薄い茶色の髪をした、背の高い、筋肉質な男だ。

男はミラーのサングラスをしている。

精悍な顔立ちに、とてもよくサングラスが似合っていたが、室内でサングラスという不自然さが、彼の存在がイレギュラーなことを物語っていた。


「お待ちしておりました。ミス・鈴木」


男は、礼儀正しく素奈多に向かって頭を下げた。

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