鏡の国のソナタ
いや。

ポケットから出てきた卵の殻と、クローゼットの中に落ちていた殻を合わせると、ずいぶんと大きな、ダチョウの卵くらいの大きさになるようだ。

中の生き物が成長するに従って、卵の殻がゴムのように自在に伸びていくようなイメージが浮かんだ。

ふと、キジタローが卵の中の白身みたいな部分を前足で触ったのを思い出した。

キジタローが触ったあと、卵をくっつけると吸い付いて離れなくなった。

ゾクッと背筋が寒くなった。

この猫は、キジトラの配分といい、顔つきといい、金色の目といい、なにからなにまであのキジタローとそっくりだ。



そう、まるでコピーのように。
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