鏡の国のソナタ
素奈多は立ち上がって机の前に立った。

御守りの入った小瓶のコルクの栓を、ポンと抜く。

わるいことをする前のように、ごくりと唾を呑み込んだ。

キラキラ輝く髪の毛を瓶の中からとりだして、卵の中に押し込んだ。


――うわー……。


指先が震える。

そうっと卵の割れた面をくっつけた。


――うわー、うわー、うわー……!


心臓が破裂しそうに高鳴って、口から飛び出しそうだった。

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