鏡の国のソナタ
卵は、猫のときと同様、ぴったりくっついてしまって、もう離れない。

「そんなこと、あるわけないよね……」

声に出しつぶやいてみた。

まさか、本当に、こんなちっちゃな卵から人間のコピーができちゃうなんてことが、あるわけない。

猫のことは、きっとなにかの偶然に決まってる。

素奈多は、悪戯をしてしまった子供がいいわけをするように、そう自分にいいきかせた。


でも。

なにかの偶然だとしたら……。

あの、ポケットにあった卵は……。

キジタローが触った卵は、いったい、どこにいってしまったんだろう?

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