鏡の国のソナタ
先輩の髪の毛を入れてしまった卵を握りしめて、素奈多は茫然と部屋の中に立ちつくした。


翌朝、あまりに緊張していたのか、素奈多は目覚まし時計が鳴るずいぶん前に目が覚めた。

枕元には、なんの変哲もない卵がころんと転がっている。

ふとんの腰のあたりが暖かくて手を伸ばすと、そこで丸くなってぐるぐるいっているのは、猫だ。

素奈多はなぜだかほっとして、ゆったりと朝食をとり、猫が起きたときのためにミルクを皿に置いて、学校へ向かった。

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