鏡の国のソナタ
素奈多は、うううん、とうなされてベッドで身をよじった。

うっすらと目を開け、ねぼけまなこで抱きしめた枕に顔を埋める。


「べたべた触るんじゃねぇって言ってんだよ」


枕が口をきいた。


……は?


寝ぼけた脳味噌に、ガツンと喝が入ったような感じだった。

いつもよりは、ごつごつした、妙にあたたかい枕が、男の声で喋ったのだ。

素奈多は、パチッと目を開けて抱きしめていた枕を確認した。

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