鏡の国のソナタ
「ああーあ……」

むっくりと、ベッドの上に半身を起こした人影があった。


裸だ。


裸の男が、素奈多と添い寝をしていたのだ。


「くくくく……九嵐……せんせんせんせん……」

ベッドの上で不機嫌な顔をしている裸の男は、九嵐にそっくりだった。

素奈多は夢の続きを見ているのかと思って、自分の頬をぺちぺちと叩いた。


なんとなく痛くないような気がする。

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