鏡の国のソナタ
先輩に祈りを捧げながら、素奈多は家に帰った。

もしかしたら、あれは夢で、家の中には誰もいなくて、買ってきた男物の服なんか無駄になっちゃうなんてことがあったらいいな、とちらっと思った。


でも、それもなんだかもったいない……。


もったいないと思ってしまった自分を、素奈多はあわてて否定した。

顔も声も先輩そっくりだけど、あいつは、乱暴で、無神経で、意地悪で、女心が判ってなくて……。



最悪なヤツだ。

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