鏡の国のソナタ
リビングを覗くと、テレビがつけっぱなしになっていた。

ソファに、見慣れたトレーナーを着込んだクランが横になっている。

その手から、ぽとんと床にポテトチップスが落ちた。

素奈多は、そっとソファに近寄った。

茶色の髪がふわっと目にかかっている。

クランは気持ちよさそうにうたたねをしていた。

人の気も知らないで、太平楽だ。

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