鏡の国のソナタ
素奈多は、買ってきた荷物を抱きしめたままクランの寝顔に見入った。

口をひらくと粗野で乱暴でデリカシーのかけらもないヤツだが、それでも、憧れの先輩にそっくりなことに違いはなかった。


――似てるんだよね……。


素奈多は何度目かのため息をついた。


――違うのに……。ニセモノなのに……。


ソファの前にペタンと座って、荷物を傍らに置いた。

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