鏡の国のソナタ
――側にいたら、錯覚しちゃいそう……。



素奈多は、眠っているクランの額にかかった髪に、そっと手を伸ばした。

「せんぱ……い……」

伸ばした素奈多の手首を、クランの手がパシッと掴んだ。

眠っているとばかり思っていたクランの鋭く射るような瞳が素奈多を見つめる。


思わず後ろめたい気持ちになって、素奈多は体を引いた。

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