after rain 〜虹を待ちつづけて〜
-2週間後-


いよいよ明日は大会当日だ。


練習もさらにヒートアップする。


みんな汗だくになりながらも必死にボールを追いかける。


…私には、そんな必死になれるものがあるのかな……?


考えてみれば、これまで生きてきた中で何かに必死になったことがない。


悲しいほどに、ない。


何も。


「葵、そろそろ休憩入るよ。」


璃音の声に私はハッとした。


「うんっ。」


今日はみんなに差し入れを、と思って璃音と2人でレモンの砂糖漬けを作ってきたんだ。


部室に取りに行く。


クーラーボックスに入れておいたのを取り出す。


「まだちゃんと冷えてるね。」


「保冷材もいっぱい入れてるから。」


容器2つ分をそれぞれ持ってみんなのところへ戻る。


ちょうど集合がかかったころだった。


それからみんなに渡していった。


「うおぉ~っ、ありがとぉ~~~!!」


「気が利くマネージャーだなぁ~。」


結構好評だったから安心した。




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