after rain 〜虹を待ちつづけて〜
コーヒーカップは侑が璃音を気遣ってゆっくり回していた。


…すごく早く回したそうだったけど…。


私たちの方は結構早く回す。


「…ちょ、天野…?」


いや、違う。


私がヤケクソで早く回しているんだ。


こうやって、今すぐでも誰かにぶつけたい何とも言えないこの感情を紛らわすために。


最初は驚いていた香坂くんだったけど、後からは何も言わなくなった。


この時も、私の気持ちを見透かされているみたいだった。



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