after rain 〜虹を待ちつづけて〜
「…泣きたいなら、泣けば?」


香坂くんは優しい声で言った。


もう、限界だ。


---ポロッ…


涙が落ちた。


私は声を押し殺しながら泣いた。


…香坂くんが目の前にいるのに……。


そう思っても涙は止まらない。


今日1日、ずっと辛かった。


そして、口までも動き出した。


「…私の方が…、ずっと侑と一緒にいたのに……っ。」


話さない時期もあったけど、私の方が侑との付き合いが長い。


「私の方が先に侑を好きになったのに…っ。」


小さい頃からずっと好きだった。


「なんで、なんで、なんでっ。」


なんで侑が好きになったのは璃音なの?


なんで璃音も侑を好きになちゃったの?


「わけ、わかんないよ…ぉ。なんでわたしばっかこんな気持ちにならなきゃいけないの?」


こんなの、不平等だよ。


香坂くんは最後まで私の話を黙って聞いてくれた。








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