after rain 〜虹を待ちつづけて〜
『イヤ…。』


私の小さなその声は聞こえたのか聞こえなかったのか、2人は私を置いてどこかへ去っていく。


『待って!』


大きな声を出しても2人はもう私の方を振り返らなかった。


どうして?!


どうして夢の中でも2人は私を傷つけるの?


どうして夢の中なのに私の思い通りにならないの?


『侑っ……!行かないでぇ……!!』


私は泣き叫んだ。


泣き叫んでも泣き叫んでも、侑は璃音と2人で私を置いて行った。

---…
------……


「…侑……。」


「……まの…っ。」


また私を呼ぶ声がした。


「天野っ。」


目を開けた。


あ…。


「…香坂くん……。」


私を呼んでいた、起こしていたのは香坂くんだった。
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