after rain 〜虹を待ちつづけて〜
「俺が侑を忘れさせてやるよ…。それに俺なら絶対に天野を悲しませたりしないから…。」


「………っ。」


ダメだとわかっているのに、心が揺れた。


楽になりたい、そう思ってしまう。


想うよりも想われる方が楽。


そんな考えが頭をよぎる。


「………。」


「………。」


部室には沈黙が流れた。


その時、突然ドアが開いた。


「お~いっ、香坂遅いぞ~!いつまで部室にいる気なんだよ~。」


同級生の声だ。


「あ、悪ぃ。今行くよ。」


香坂くんは「考えといて。」と、言い残して部室を去って行った。
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