after rain 〜虹を待ちつづけて〜
あの日は私の10歳の誕生日だった。


私の誕生日は毎年家族と侑がお祝いしてくれていた。


でもその年の誕生日、お父さんはどうしても行かなくてはいけない出張とかぶって、家にお父さんがいなかった。


『ごめんな、葵…。』


出張の前にお父さんに言われた言葉。


私はそれに対して、


『大丈夫だよ。』


って言った。


お母さんも、侑もいるから。


だけどやっぱり、1人でも欠けてしまうのは悲しかった。


沈んでいる私に侑は…。


『沈むなよ!おじさんの代わりに俺がいつもより盛大に祝ってやるからよ!!』


そう言って、誕生日当日に侑はどこかへ走っていった。
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