after rain 〜虹を待ちつづけて〜
「…あ、悪ぃ…蒼井が来てたのか……。」


俯きながらそう言う侑の顔は赤かった。


「ごめんねっ。ったくお母さんは肝心なとこを伝えないんだからぁ~…。」


苦笑いをしながら璃音を見ると、璃音も侑みたいに赤くなっていた。


…最悪……。


2人ともわかりやすい反応しないでよ……。


「…で、侑部活じゃないの?」


「いや、今日はたまたま休みになったんだ。」


「へぇ~。」


部活休みにした顧問のバカ。


って、平塚先生か…。平塚先生のバカ。


「…じゃ、俺帰るわ。悪かったな。」


侑はドアを閉めて帰って行った。


「……っはあ……。」


突然璃音が苦しそうに息をはいた。


「…どうしたの?」


「…なんか、息止めてた……。」


「バカか。」


「だって、突然沢木くんが入ってきたから……。」


そう言うと璃音は前のめりに倒れた。


「…一言も…、一言も話せなかったぁ~~~っ。」


「…ドンマイ。」


私はよかったと思ったけど…。


…私、最低だな……。



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