甘い魔法は近づく唇☆Kissの予感
「ゴメン、木下君。もうちょっと待って…。そしたらセリフ合わせしようね」



あたしは少しだけ笑って見せて、そう言った。



それは多分『作り笑い』の笑顔。



「ねぇ…優……?」



心配そうな表情の木下君が目の前に映る。



ドキドキするわけじゃないけど、



目が合うとどうしたらいいか分からなくなる。



なんだか落ち着かない感じに包まれてしまうから。



少しうつむき、木下君から視線を反らすあたしを木下君はさらに見つめてきた。



「優さ、なんて言うか……無理してない?ホントはやっぱり…ジュリエット、やりたくないんじゃない?」



木下君はなんだか悲しそうな声で言った。



あたしは視線を反らせてしまった気まずさもあって、返す言葉が見つからなかった。



そして黙ってしまった。



「違うの…?優……?教えて?俺がいけないよね…なんか……ゴメンな」
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