黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編
      その3

「あ、部長〜予算の方どうでした〜?」

のんびりとした口調で、里美は声をかけた。

放課後…部室へ行く途中に、たまたま廊下で部長の久川と里美は、出くわしたのだった。

「…聞くな…」

久川はひたいに手をやると、思い出したのか落ち込んでいる…

「…そうですか〜」

「そっちの方は、どうだ?」

「そうですね〜あははは」

「まあ、お互い頑張ろうな。いーかげん練習しないとヤバイし…万が一、脚本の書き直しもあるしな…」

「あはははは〜部長、死ぬ気で探します」

「ああ、そうだな。明日までに見つからなきゃ、ストーリー変えだぞ」

「あははは…」

里美は笑いながら、久川と別れると、そのまま無意識のうちに緑を求めて、中庭へと出ていた。

校舎と学生食堂との間は、常緑樹が多く植えられていて、ちょっとした庭園になっている。

石のベンチが所々にあり…そのベンチの一つに、膝の上に猫をのせて座っている男子生徒が、ポツンと目に付いた。
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