黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編
「あれ?鳴海君…」

里美は、その生徒を知っていた…

あまり話した事はないが、同じクラスの男子だ。

「やぁ…里美さん」

「どうしたの?その猫」

鳴海から少し離れて、里美もベンチに座った。

「…さあ、いつの間にかいたね…」

と言いつつ、白い猫の頭をなでている…

「そっか〜」

里美は、ほんわか笑うと自分も猫の頭をなでた。


どれくらい、そうしていたのか…

どちらがともなく、深いため息をついた。

「…里美さん…どうかしたの?」

先に鳴海がたずねた。

「あはは〜実はね今、部員狩りの途中なんだけど、一人も見つからないのよ〜」

「へ?」

「見つからないと、脚本書き直しなのよ〜あ、私、脚本担当で演劇部なんだけど、この前部員が辞めちゃって、代役がいないんだ〜」

「…大変なんだね…」

「大変なのよ〜」

鳴海はおぼろげに理解して、いたわりの笑みを浮かべた…

里美は話を聞いてもらえて、少し元気が出てきたようだ。
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