黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編
「誰か入ってくれないかな〜あ、そうだ!」

何か思いついた里美が鳴海に向き直ると、必殺ほんわか笑いでこう言った…

「鳴海君が入ってくれると、助かるな〜」

里美は両手を握りしめて、お願いのポーズをすると鳴海に迫った。
部長お墨付きの武器だ…


その格好のまま…二人は固まったように動かなくなり、しばらくそうしていた…

が、長い沈黙を破って鳴海が口を開いた。

「…いいよ」

「え?本当にいいの?わ〜うれし〜な、ありがとう」

あふれんばかりの感謝が、鳴海に向けられた。

「その代わり…」

「へ?」

里美の笑みが、ピタリと止まる…

「…今から、僕と一緒に来てくれませんか?」

「え?ええ、もちろんイスカンダルだってついて行くけど…」

「じゃあ、行きましょう…」

鳴海は猫を膝から下ろすと、歩き出した。

「???」

頭の中を?でいっぱいにしながら、里美は大人しくついて行った。
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