黄金時間が過ぎるまで〜もう一つの番外編
校庭の隅のベンチでその様子を見ながら、私と鳴海君は休憩する事にした。

キャンプファイヤーの炎につられて、ぽつぽつと生徒達が集まって来ている…

「お疲れ様…里美さんが手伝ってくれたおかげで、早く終わったみたい。ありがとう…」

お礼にと、自販機のジュースをおごってくれた。

「いいえ〜」

ありがたくジュースを頂くと、鳴海君が照れながら言った。

「…弟がね、劇、面白かったって」

「本当?嬉しいね〜良かった〜」

「うん、これで最後なのが残念だけど…」

「え〜?演劇やめちゃうの〜?もったいない…」

「そう言ってもらえると、嬉しいね…」

鳴海君は空に消えて行く、火の粉を見つめながら言った。

「…でもさ、いつか…また鳴海君が舞台に立つ事があったら、呼んでね?花束持って見に行くから〜」

「ありがとう…じゃあ僕は…里美さんが本を出したら、まとめ買いして周りに配る事にするよ」

「その時は、よろしくね〜」

私は嬉しくなって、頬が緩んだ…
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