図書館の秘め事
カツン、カツン――
静まりかえった室内に、チェスの駒が動く無機質な音だけが響いている。
あ、今日もだ。この感覚ってどうも落ち着かないのよね。
でも、そんなことを気にしていないように私はじっと下を向いていた。
そんな私に、柔らかいテノールが甘い言葉をかけてくる。
「ねえ、こっち向いてよ。もっと、君の可愛らしい顔を見たいんだけどな」
「そんなこと言ってていいんですか? このままだと、今日も私の勝ちですよ」