= secret =
「待たせてごめんね。」

おだやかに微笑ながら

そう言った。

「今、着いたところだから。」


「・・・そう。近くの公園に行こう?」


「あぁ。」

2人で公園まで歩く。

何も会話もなく

黙って歩く。

そして公園について

私と貴臣さんは向かいあった。


「柚那・・・あの・・」


「何も言わないで・・・
 先に私の話しを聞いて。」


無表情になりそうな顔を

一生懸命の笑顔を作る。


「私は貴臣さんが好き。
 そして佳央も好き。
 2人とも大切なの。
 付き合っているときから
 仲良かったのは知ってたし
 こうなりそうな不安が
 まったくなかったわけじゃないの。

 正直・・・
 まだ私の中でいろんな
 考えが渦巻いてるの・・・。
 だから心のそこから
 まだ言えないけれど
 2人とも私の大切な人だから
 『おめでとう』って言える日が
 くるまで、もう少し待って欲しい。
 
 2人とも私の大切な・・・」


堪えていた涙が

頬を伝う・・・。

「ごめんね。
 泣くのは卑怯だよ・・ね。
 泣かないって決めてたのに。」

少し気持ちを落ち着かせて

最後に言った。

「お幸せに。」


精一杯の笑顔で・・・・。

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