銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
目を瞑り、心の底から、強く強く一心に、懸命に祈った。
『どうか命を救って欲しい』と。
―― ピチョン……。
どこかに雫が一滴、落ちる音がして、あたしは目を開き耳を傾ける。
……聞こえる。この激しい轟音のような雨音の中で、確かに聞こえる。
静かな、とても温かな、たったひとしずくの水音。
これは、あたしの中の水の精霊。……あなた?
不意に雨の勢いが弱まり、滝が落ちるような雨が引いていく。
豪雨は見る間に糸のような弱々しい雨となり、これまでの勢いが嘘のようにピタリと止んだ。
そして雨雲が駆ける様に消えていき、その合い間から、青い空と明るい陽射しが見えてくる。
呆然と空を見上げるあたしの隣で、ジンが歓声を上げた。
「よくやった! 雫!」
地面に残った赤い色素の部分に、ジンがそっと息を吹きかけると、ぽぉっと明るく、赤い色素が揺らめいた。
ジンが息を吹きかけるたびに、色素はどんどん明るさを増し、ただの染みのようだった影が火の精霊の姿へ戻っていく。
『どうか命を救って欲しい』と。
―― ピチョン……。
どこかに雫が一滴、落ちる音がして、あたしは目を開き耳を傾ける。
……聞こえる。この激しい轟音のような雨音の中で、確かに聞こえる。
静かな、とても温かな、たったひとしずくの水音。
これは、あたしの中の水の精霊。……あなた?
不意に雨の勢いが弱まり、滝が落ちるような雨が引いていく。
豪雨は見る間に糸のような弱々しい雨となり、これまでの勢いが嘘のようにピタリと止んだ。
そして雨雲が駆ける様に消えていき、その合い間から、青い空と明るい陽射しが見えてくる。
呆然と空を見上げるあたしの隣で、ジンが歓声を上げた。
「よくやった! 雫!」
地面に残った赤い色素の部分に、ジンがそっと息を吹きかけると、ぽぉっと明るく、赤い色素が揺らめいた。
ジンが息を吹きかけるたびに、色素はどんどん明るさを増し、ただの染みのようだった影が火の精霊の姿へ戻っていく。