銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 その優しい心遣いがありがたくて、あたしは自分の手の平を上へ向け、そっと土の精霊に向けて差し出した。

 土の精霊は手の平とあたしの顔をキョロキョロ見比べ、おずおずと手の上に乗る。

 あたしはゆっくりと、手の平を自分の顔と同じ高さまで持ち上げた。

「土の精霊。無事……でもなかったけど、復活できて良かったね」

「人間の、しずくさん……」

「……ただの雫でいいんだけど」

「ただのしずくさん、とお呼びすればいいのですか?」

「いや、あの~……」

 思わず吹き出してしまったら、その息で土の精霊の豊かな髪がぶわっと膨れ上がる。

 目をしぱしぱさせてる表情が、本当に可愛らしい。

「無事で良かった。本当に良かった。良かったね。土の精霊」

「はい、ありがとうございます」

 土の精霊は頬を赤らめ、照れたように俯いた。

 そんなあたし達の様子を微笑みながら見ていたジンが、優しい声で話しかける。

「お前の兄弟が大樹に成長すれば、また神の船になれるんだろう?」

「はい。それはもちろん」

「え? そうなの?」

「はい。モネグロスの力があれば、かんたんですから」

「へええ! そうなんだ! モネグロスの……」

 …………。

「モネグロス!?」

 そうだ、何か足りないと思ったら、全員揃って無事じゃなかったんだわ!

 向こうでひとり失神してるんだった!
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