銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 ジンが血相変えて、モネグロスの倒れている場所へ駆け寄った。

 あたしも、土の精霊を手の平に包むようにしながら駆け寄る。

 モネグロスは青白い顔と唇で、ぐったりと意識を失ってしまっていた。……この顔色はヤバイ!

「モネグロス! しっかりしろ!」

「お願い! 目を開けてよ!」

「モネグロス、きこえてますか!?」

 あたし達の叫び声にもまったく反応してくれない。

「全身ズブ濡れだ! このままじゃますます衰弱しちまう!」

「は、早く温め……クシュン!」

「ただのしずくさん!? 大丈夫ですか!?」

「さ……寒……」

 うぅ、あたしの全身もグッショグショだったんだわ。

 髪の毛からはボタボタ水が垂れ落ちてるし、濡れた服にどんどん体温が奪われてく。

「さ、寒い。寒い、寒い、寒い……」

 ガタガタ震えるあたしを見て、ジンが大慌てで叫んだ。

「火の精霊! モネグロスと雫を温めてくれ!」

「……温める?」

 少し離れた場所からあたし達を見ていた火の精霊が、首を傾げた。

 土の精霊が、あたしの手の平の冷たさを感じ取ったのか、焦った声で懇願する。

「おねがいです火の精霊! 早く!」
「……承知」

 そう言って頷いた火の精霊は、おもむろに両手を前に突き出した。

 その両手の上に、バスケットボール大の火の玉がボッと現れる。

 そして……

 その火の玉を、あたしに向かって思いっきりブン投げてきた!

「ぎゃ――――!?」
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