銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
「ぎゃああぁ!?」
 ビ……ビックリした!! 心臓止まるかと思った!!

 誰か居たの!!? さっきまで砂しか無かったじゃない!

 ど、どっから湧いて出た!? まさか危険な砂漠のモンスターじゃないでしょうね!?

 盛大にビクビクしながら声の主を確認したあたしは、再びポカーンと呆気にとられる。

 だって……そこに、信じられないほどに美しい存在を見つけてしまったから。

 あたしに話しかけてきたその人は、見た事もないほど綺麗な空色の瞳をしていた。

 瞳と同色の長い長い髪は、陽の反射する水面のようにキラキラ輝いて、清々しい清流の匂いが漂っている。

 抜けるように白い肌は白磁のように滑らかで、一切の血色が見られない。

 その全身を覆うものは、古代ギリシャの衣装のような純白の一枚布。

 なんて華奢でたおやかな、女の人だろう。

 ……ううん。これは『人』じゃない。
 不思議で異質な、この存在感たるや、とても人間とは思えない。

 目の輝き。髪の艶。肌の色や質感。
 全てが人間とは違っていて、まるっきり作り物じみているのに、ものすごく自然な存在。

言葉にするのは難しいけれど、あえて言うなら、そんな感じだった。

 未知との遭遇に、あたしは声もなく相手を凝視する。

これが熊とかゴリラとかだったら、まず恐怖心が先に湧くんだろうけど、こんな綺麗な異星人をゴリラと一緒にしたら申し訳ないわ。

 そもそも異星人なのかどうかも定かではないけど。
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