銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
とっぷりと日が暮れて、あたりはすっかり夜。
あたしは火の精霊が燃やしてくれた焚き火の前に、膝を抱えてひとりで座っていた。
赤や、オレンジや、黄色の混じり合った火の色合いが、とても綺麗。
街灯なんてひとつも無いこの場所に灯った美しい炎が 暗闇の中で複雑に色彩を変え、形を変える。
まるで生きているようなその揺らめきを見ていると、吸い込まれてしまいそうだ。
あたしの後ろには、土の精霊お手製の、枝や葉で作られたアジアンテイストなコテージがある。
といっても、もちろん土の精霊が日曜大工をしたワケじゃない。
土の上にあの小さな手を置いて、あの子が不思議な声で土に向かって囁くと、細長いたくさんの木々がニョキニョキッと生えてきて、あっという間に勝手にコテージを形作った。
精霊達は野宿は全然気にならないらしいんだけど、あたしとモネグロスのために、わざわざこしらえてくれたんだ。
モネグロスは、もうコテージで休んでいる。よほど疲弊したんだろう。
無理も無い。神殿を出てから過酷の連続だったもの。死なずに済んでラッキーなぐらいだわ。
少しでも体力が回復してくれるといいけれど。
……ふと気配を感じて振り向くと、火の精霊がそこに立っていた。
「人間の女よ、火の加減はどうか?」
「うん、ちょうどいいわ。順調よ」
「そうか」
「うん」
「……」
火の精霊は無表情のまま、何も話さないのに、なぜかこの場から立ち去ろうとはしない。
何かあたしに用でもあるのかしら?
あたしは火の精霊が燃やしてくれた焚き火の前に、膝を抱えてひとりで座っていた。
赤や、オレンジや、黄色の混じり合った火の色合いが、とても綺麗。
街灯なんてひとつも無いこの場所に灯った美しい炎が 暗闇の中で複雑に色彩を変え、形を変える。
まるで生きているようなその揺らめきを見ていると、吸い込まれてしまいそうだ。
あたしの後ろには、土の精霊お手製の、枝や葉で作られたアジアンテイストなコテージがある。
といっても、もちろん土の精霊が日曜大工をしたワケじゃない。
土の上にあの小さな手を置いて、あの子が不思議な声で土に向かって囁くと、細長いたくさんの木々がニョキニョキッと生えてきて、あっという間に勝手にコテージを形作った。
精霊達は野宿は全然気にならないらしいんだけど、あたしとモネグロスのために、わざわざこしらえてくれたんだ。
モネグロスは、もうコテージで休んでいる。よほど疲弊したんだろう。
無理も無い。神殿を出てから過酷の連続だったもの。死なずに済んでラッキーなぐらいだわ。
少しでも体力が回復してくれるといいけれど。
……ふと気配を感じて振り向くと、火の精霊がそこに立っていた。
「人間の女よ、火の加減はどうか?」
「うん、ちょうどいいわ。順調よ」
「そうか」
「うん」
「……」
火の精霊は無表情のまま、何も話さないのに、なぜかこの場から立ち去ろうとはしない。
何かあたしに用でもあるのかしら?