銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 しばらくの間、あたしはそうして流れる星達を見ていた。

 涙もおさまり、濡れた頬も乾いた頃、ようやくあたしは立ち上がり、テントに向かって歩き出した。

 さあ、もう休もう。始めるために。

 コテージの入り口を静かに開けて、眠っている皆を起こさないように気をつけながら入った。

 そして、空いているスペースにゆっくりと体を横たえる。

 敷き詰められたフワフワの葉っぱが、まるで極上の寝具のようだ。

 わあ、気持ちいい……。

―― ふわり。

 あ、この風……。

 気付くのが難しいくらい、本当にかすかな風が、あたしの髪と頬をわずかに撫でた。

 ……もうとっくに眠ってると思ったのに。

 あたしが来るまで起きて待っててくれたのね?

 心配、かけちゃったかな? ごめんね。

「……ありがとう」

 風に負けないぐらい、かすかな声であたしは囁いた。

 風が、止む。

 そしてあたしは、とても満ち足りた穏やかな心で眠りにつくことが出来た……。



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